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2009年11月21日 (土)

鑑賞も表現の内?附属山口中の実践から

Fuzoku1 11月20日は山口大学教育学部附属山口中学校の研究発表大会でした。公開授業に参加して鑑賞の授業を見たのですが、驚いたのは「鑑賞の授業なのに表現の授業」ということでした。

作品に対峙し「そこに感じる音」をオノマトペで「表現する」。絵から読みとったことがらをもとに「題名を考え」自分の考えを「表現する」。

今回取り上げられた作品は、レンブラント作「ガラリヤの海の嵐」、ターナー作「雪の嵐 -港を出る蒸気船」、ポロック作「五尋の深み」です(生徒には題名を知らせていません)。・・・題名は訳なので他の題名になっているものもあります。また、これらの作家と作品はインターネットで閲覧可能です。

Fuzoku3中には「わからない」「めんどうくさい」「興味ない」などと鑑賞に消極的な生徒もいるわけですが、そんな子どもでも何かのきっかけをつかんで「わかる」「絵を見て考えることは楽しい」と実感すれば、がぜん鑑賞することが楽しくなるものです。

公開授業の前時間にはレンブラントの「ガラリヤの海の嵐」に関連して「キリスト教美術」についてとりあげたそうです。 文字の読めない人たちにも広くキリスト教の物語を理解してもらうために描かれた宗教画には「わかりやすさ」が求められ、様々な「ルール(約束事)」が仕掛けられています。宗教画鑑賞の面白さに「はまった」生徒が何人もいたそうです。

さて、本時間はターナーの「雪の嵐 -港を出る蒸気船」が話題の中心となりました。

Fuzoku5生徒はこの作品に「雪の嵐(吹雪)」という題名がついていることは知らされていません。絵から聞こえてくる音をオノマトペに表す作業で、静寂を感じる生徒と激しい音を感じる生徒に分かれ議論が始まりました。題名を知らされているとほとんどの子どもは「激しい音」を書いたでしょうね。でもそれでは絵から読みとったことにはなりません。鑑賞の授業には「想像力をつかって作品と対話する力」が必要ですが、それを見事に引き出した授業でした。「ここに光が当たっていて、ここが影で、波のダイナミックな動きを表しているんだよ」「じゃあ、これは何?」描かれている内容、描き方など作品の隅々まで目を凝らして一生懸命に主張し議論する姿がとても頼もしく思えました。先生は「実は」と話したかったでしょうね、グッと我慢の1時間でした。

「鑑賞」というと「先生や学芸員の話を聴くだけ、テレビの解説を聴くだけといった受動的な活動」というイメージを持ってしまいますが、実は表現同様、能動的な活動だったんですね。

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コメント

授業の様子を紹介していただき、うれしい限りです。研究会の協議や、終了後に参加者の皆さんにご記入いただいたアンケートによると、おおむねオノマトペ→作品の題名を考える活動の意図をご理解いただけたように思います。オノマトペで表す活動に疑問、題名を考える活動が果たして鑑賞を深めることになるのかというご意見もありました。いつもあの生徒たちを見ている私としては、晴れの舞台で担任を立てようというサービス精神もなくはないですが、多くの生徒が自ら絵を見て、そこから何か感じようとしていたように思います。研究大会での授業公開は提案性のあるものになればと思っていますので、もちろんこれからの課題もたくさんありますが、準備したことに対する手応えと、生徒とともに美術の授業をする喜びを感じた一日となりました。ありがとうございます。

コメントをいただきありがとうございます。
先生にお伝えしたかったなんですが、今回の附属山口中学校の研究発表と先生の授業は、ピッタリ合ってると私は思いました。先生が課題を提示して、生徒にしっかり考えさせる(美術にあっては「しっかり想像力をはたらかせる」だと考えています)、そして「わかった(と思う)こと」を発表させる・議論させる。真理を探究しようとする姿、文化を理解しようとする姿とはそのようなものではないでしょうか。まさに「学ぶことによって、さまざまなものの見方や考え方ができるようになると、身の周りにあるたくさんの面白いことに気づくことができ、大人になってからの人生を楽しむことができる」だと思いました。
先生の授業で生徒は想像力を鍛えられていると思いました。豊かな想像力の無いところに表現欲求なんて生まれてこないでしょうし、表現技術を教えても生かすことができないでしょう。まして他者の表現を理解することなんてできるはずがないと私は思います。
ぜひ自信を持って今後の研究を続けてくださいね。

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